世界史好きでも嫌いでも、『第3のギデオン』は面白い
「え、いきなりこれ?」
と思われる方が大半だと思います。
ただこの漫画、及びこの漫画の作者である乃木坂さんは、「ザ・面白い漫画」を描くので1個目にしました。
乃木坂さん作品だと、「幽麗塔」「医龍」「夏目アラタの結婚(連載中)」を読んでいるのですが、どれも非常に僕好みのテンポでやってくれるんです。
どんなテンポかというと、一言でいうと「とにかく読者を休ませない」という感じです。
初期の設定から、次の展開、さらに次の展開と、無駄な話・小話を挟まず淡々と書いて、きれ~いに終わらせます。
遊びは(キャラをデフォルメするシーン)は1コマ、2コマでこの使い方も上手いですが、最近の漫画にはない爽やかな読み応えがあります(内容はドロドロしてますが笑)。
一番好きな漫画家か?または作品か?と言われると違いますが、教科書のようだな~と思います(女の子もかわいいし)。
それでは作品の方に入っていきます。
場所はフランス、時はフランス革命時代。
貧困にあえぐ国民を法律を武器として救いたい平民・ギデオンと、武力行使でどんな手を使ってでも現状を打破したいジョルジュ、の二人を主人公としたヒューマンドラマです。
とにかく、人間の汚い部分・策謀のやり取りを経て、国が動いていく描写は圧巻です。
一方で、僕が感じた本作品のテーマは「愛」。
「父からの愛」じゃないの?という意見もあると思いますが、主人公たちはどちらも「父からの愛」がないと感じ、一方で彼らの周囲は父からの愛とは別の「愛」に助けられたり、絶没に底に落とされ動いていきます。
例えば、ギデオンの娘のソランジュは「母からの愛」はなく、「父からの愛」に助けられ生きていますが、逆にジョルジュには「妻としての愛」及び「母の愛」を与えているように思えます。
そして、この物語で一番せつないな~と思うのはやはり国王一家ですよね。
中でも国王のルイさんは、「良き夫(対アントワネット)」「良き兄(対エリザベート)」「良き父①(実の子供たち)」「良き父(国王として対国民)」と役割期待デカすぎますよね!?
抱えきれない重荷に苦しみ抜いて、アントワネットとは一人の男として向き合い、妹はふって、国民に処刑されるって辛すぎますよね・・・
しかも最後は皆を許しちゃう・・・色んなところで題材となるフランス革命ですが、この作品のルイ16世が一番人間臭くて僕は好きです。
マリーもほんと可愛いし、かわいそうですよね。最後の最後までにくめないキャラで最高でした。
また、余談ですが「ベルばら」とかではかっこいいフェルゼンさんが、めっちゃしょぼくて笑えました(笑)
まあそんな感じで、明るい気分にはならないものの、ピリッとした読み応えのある、新しい解釈のフランス革命って感じの作品です!是非ご一読ください。
それではまた次回もお願いしま~す。